タイ語の発音の難しさを凝縮したような単語です。頭子音、母音、末子音のすべてが難しい
最初の頭子音 p は息の出ない無気音。厳密には息 h が子音と母音の間に挟まらない構造の発音になります。日本語では単語の音節で二番目以降の音は無気音になることが多い。「気」は言語学用語 aspiration を「気」と訳してますが、日本語の感覚では「息」のほうが近いと思われます。
タイ語の無気音 (無息音) は中子音 middle class consonants というグループを構成していて、タイ語をタイ語たらしめている発音群です。濁音から濁りを取ったような音で日本人は gやj の濁音で代用することも多い。濁音は無息なのです。但し、pとt はタイ語にも濁音の bやdがあるので代用できません。 無息音は、 おだやかでアクセント記号がないかぎり抑揚がなく、それでいて外国人には発音しづらい。
日本語はそもそも無気音と息が流れる有気音で意味の区別をしません。タイ語の場合 息が流れるか流れないかで まるで意味が異なってくる。pəət「開く」と phuut พูด「話す」の違いが出ます。日本人の発音は単語の先頭に来るパ行は有気音 ph になる傾向がつよく「話す」の phuut に近くなる
この場合母音も曖昧母音 /ə/ から 口をつき出す/u/に変化しがちです。タイ語の「う」も 口の奥で発音する ɯ を加え 三種類 ɯ ə u を区別します
末子音となると日本語にも英語にもない無音なのですが、この無音も k t p の三種類を区別します。この無音を間を取って しっかり区別して表現することはタイ語らしさにとって極めて重要なこと
「開く」ぷəーッt の発音は、英語の spur spur spur を発音した後、purt と発音すると近い音になる
日本語では「ボーっ」としている(呆けている)を「ポーッ」と発音してみるといい
無気 p は「行く」パイで聞くことが多い。英語ではスパイ spy のパイだと説明される
「一杯飲む」というときのパイ?